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連載|フランスの街と自然をむすぶ人たち by TRANSIT パリ郊外のエピスリーで故郷の味を届ける。 フルール・ゴダール(「Fine Fleur」店主)

フランスのピレネーの麓、サン・セベの町で生まれた「PYRENEX」。そのはじまりは、命を余すことなく生かそうとする、暮らしの知恵から。そんな自然と街をあたたかくむすぶフランスの暮らしを覗こうと、トラベルカルチャー誌「TRANSIT」がPYRENEXと一緒に、フランスを巡った。

第一回は、パリ郊外でエピスリー「Fine Fleur」を営むフルール・ゴダールを訪ねてーー。


Photography Mari Shimmura
Text Mami Okamoto
Edit Maki Tsuga

フランス南西部の大地の恵みを、パリの食卓へ。

パリ市内から北へ少し足を延ばしたサントゥアン。クリニャンクールの蚤の市の賑わいを抜けた先に、フルール・ゴダールが営む「Fine Fleur」がある。ここはエピスリーであり、自然派ワインが楽しめるカーヴであり、気軽に食事も楽しめる食堂でもある。

このお店の軸にあるのは、フルールの家族が営む養鶏場の食材。フランス南西部・ドルドーニュで祖父の代から受け継がれてきた農場から届く鶏や卵は、サンドイッチやローストチキン、素朴な家庭料理へと姿を変え、故郷の味、そのままパリの日常へとつながっている。食材だけでなくその土地の風景まで運んでくるような店として、人びとに親しまれているのだ。

「農場を継ぐのではなく、家族が育てたものをパリに届けること。それが私の選んだ道でした」

棚にはほかにも自然派ワインや保存食が並び、生産者の名前がさりげなく添えられている。誰が、どこで、どんな思いでつくったものなのか。その背景ごと届けようとする姿勢が、Fine Fleurという店を形づくっている。

母として、店主として、街に根を張る。

フルールは店のすぐ近くで家族と暮らし、子どもを育てながら店を切り盛りしている。昼はランチ、午後はカフェ。夜になると、ワインを楽しむ人たちが集うバーになる。忙しい毎日を送りながらも、その表情はいつも穏やかだ。

実は、フルールは以前、ファッションモデルとして活動していた時期もある。けれど、その世界を離れるのは早かった。

「華やかな世界には憧れもありましたし、好きでした。でも、私には本質的に合わなかったんですよね」

幼い頃から身近にあったのは、家族が育てる鶏や畑の野菜、季節とともに移ろう景色だった。パリで暮らすようになったいまも、その感覚は変わらないという。Fine Fleurに並ぶ食材は、有名だからではなく、自分が心からおいしいと思えたものばかりだ。

「地元のおいしさを伝えたい」

理念というより、彼女にとってはごく自然なことなのだろう。故郷の記憶を携えながら、この街で新しい日常を育てている。

雄大なピレネー山脈に息づく、丁寧なものづくり。

フルールが生まれ育ったフランス南西部には、豊かな森や農地が広がり、その南には雄大なピレネー山脈が連なる。1859年創業の「PYRENEX(ピレネックス)」も、この風土から生まれたブランドだ。

PYRENEXの名前は、その山並みに由来する。土地の恵みを生かし、手仕事を受け継ぐ文化は、この地域のものづくりにも深く息づいている。

食用として育てられた鴨やガチョウの羽毛を集め、洗い、選別し、暖かな素材へと仕立ててきた歴史。長年培われた加工技術は、アウトドア用寝具から衣服へと受け継がれ、現在のダウンジャケットへとつながっている。

「PYRENEXは昔から地元の人たちに愛されてきていて、今ではフランスの人にとって馴染みのあるブランドです。軽くて暖かいから、冬はさっと羽織るだけで十分。フランスの家は室内が暖かいので、Tシャツの上に一枚着るくらいがちょうどいい。このジャケットは襟元にボリュームがあって首まで暖かいし、ラウンドヘムなので重たく見えないところも気に入っています」

フルールにとって、ダウンは特別なアウトドアウエアではなく、日々の暮らしに寄り添う一着だ。
軽やかなミドル丈は、自転車に乗る日も、子どもと歩く日も動きやすい。流行を追うというより、長く付き合っていくもの。そんな感覚が、フランスの暮らしには自然と根づいている。

今日の暮らしを、豊かにするダウンウエア。

フランスで愛されるPYRENEXのダウンの向こうには、160年以上受け継がれてきた職人の技術がある。そして、フルールが営むFine Fleurの一皿の向こうには、家族が守り続けてきた農場がある。

どちらにも共通しているのは、土地の恵みを日々の営みへとつないでいく姿勢だ。田舎や山で育まれてきたものづくりは、形を変えながら、いまも街の暮らしの中で息づいている。

何を食べ、何を着るのか。その選択の先にある土地や、人の営みに思いを巡らせること。そんな小さな積み重ねが、日々の暮らしを少しずつ豊かにしてくれる。

Profile:Fleur Godardフルール・ゴダール
フランス南西部のドルドーニュ出身。モデルから転身してワインを学び、2025年からパリ郊外のセーヌ=サン=ドニで、自然派ワインやフルールが家族経営する養鶏場の卵や鶏肉を扱った食堂兼食材店「Fine Fleur」を営む。作家としても活動している。

Instagram @fleur_godart
Instagram @finefleursaintouen

PYRENEX Pick up Item

ELAURA(エローラ)
シンプルな腰丈ダウンジャケットながら、首元までしっかり覆うボリューム感のある襟元がアクセントになっている「ELAURA」。襟を立てればマフラーいらずの暖かさを感じられる。

Jaket|ELAURA
Price|¥105,600(税込み)
Color|Deep Ink、Black、Teal、Ivory、Ebony、Light Taupe、Mermaid(着用はDeep Ink)
Size|36、38、40、42(着用は42)
Matelial|フランス産 ダウン90%、フェザー10%、生地ポリエステル100%
Function|撥水、防風、透湿性あり

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