確かな世界観に裏打ちされた美しいページ作りで各女性誌から絶大な信頼を集める一方、センス抜群の私服コーデも多くの読者に支持されるファッションエディターの磯部安伽さん。
彼女は昨年初めてピレネックスのダウンを購入してすっかり気に入り、今年も新たなモデルを購入予定と言います。
なぜ彼女はそこまでピレネックスに惹かれたのか?インタビューで訊きだしてみました。
シンプルだけどしっかりエレガント。そして上質。こんなダウンを探していました。
こういう職業ですから、今までいろんな人気ブランドのダウンウェアを試してきました。
近年は某ブランドのものをよく着ていたんですが、街で同じモデルを着ている人としょっちゅう遭遇するようになり、何か他にいいブランドはないかなと(笑)。
そこで昨年見つけたのがピレネックスでした。
2016年に本格上陸したばかりだから、昨年の段階ではまだ知る人ぞ知るブランドという感じ。私も名前ぐらいしか知りませんでした。でも、そこもかえって魅力に映ったんです。
みんなが着ていないものを早取りするのって私たちのお仕事では大事なことですから。
買ったのは「ボルドー ジャケット」というモデルのベージュカラー。
このキルトステッチもないシンプルなデザインに惹かれたんですよね。それでいてフードのファーがラグジュアリーな雰囲気を添えているのがいい。
見るからに上質な表地の感じも気に入りました。マットでちょっとクラシックなニュアンスがあって。
最近の女性のファッション傾向は、それまでのカジュアル一辺倒から、キレイめでより大人っぽいスタイルへとシフトしています。
アウターもトレンチやチェスター、ダッフルといったトラッドなものが再び人気。
このモデルはそんな流れにぴったりハマる一着だと思ったんです。
ベージュを選んだのはデニムにトレンチを羽織るような感覚で纏いたかったから。
普段私は撮影現場には動きやすいデニムで行くことが多いんですが、そこにこれを羽織ればシックにまとまると考えて。
実際昨冬はデニム+タートルのようなスタイルによく着ました。というか、今日の格好そのままですね(笑)。
ひと冬着てみた感想ですか? やっぱり暖かいですね。真冬のロケもこれがあれば無敵でした。
最高級のフレンチダウンをパンパンに充塡しているから当然といえば当然なのですが、バツグンの暖かさにはこの長めの着丈や考え抜かれたディテールもずいぶん貢献していると思います。
身長高めの私が着てもお尻の下まですっぽり隠れ、袖に長めのニットリブを内蔵するため袖口から風も完璧に遮断。
ポケットの中が柔らかなフリース生地にもなっているのもなにげに嬉しかったです。ロケの間に凍えた手を温めるのに役立ってくれましたから。
個人的にはここの控えめなロゴワッペンも気に入っています。さりげない大きさで、あからさまに主張しないから。
大人にはこれくらいがちょうどいいバランスですよね。
“痩せ見え”ダウンとして今季は「バロー」に注目しています。
あまりにも気に入ってしまったので、今年はもう一着ピレネックスを買うつもりです。
はじめはインナーダウンとしても使える「カンヌ」を狙っていましたが、「バロー」もとっても気になるんですよね。
こういうコクーンシルエット、好きな人はとても多いんじゃないかしら。
曲線ラインが女性らしくもあり、体型もしっかりカバーしてくれますから。丸いけれど裾がしまっているからメリハリがつくんです。いわゆる“痩せ見え”ダウンですね(笑)。
女性らしいダウンというと、ラグジュアリーブランドに多いウエストシェイプのきついモデルを思い浮かべる人もいると思うんですが、あれは過剰にエレガント過ぎるというか、正直、自分的にはちょっと古い気がするんです。
若い人が着るといいのかもしれませんが、大人が着るとバブルを引きずってる感じがしてしまい、お洒落からちょっと離れてしまう。
その点コクーンシルエットの「バロー」はエレガントさの方向性が今らしい。
あれこれ試してきた大人の女性の琴線をうまくくすぐってくれます。
高めのスタンドカラーはストールなどの巻き物もうまく収まりそうですしね。こういうシルエットは太いパンツも細いパンツも似合ってしまうのも利点です。
今回改めてピレネックスのラインナップをチェックさせてもらいましたが、どのモデルもじつに今の気分に沿っていると感じました。
行き過ぎないエレガンスと程よいラグジュアリーさ、そしてフランスブランドらしいトラッド感がうまくブレンドしている。
最近私の周りで着始める人が増えているのもわかります。
メンズも拝見しましたが、フレンチらしいシックさとちょっぴりフェミニンな部分があっていいですね。あのデザインなら若い人はもちろん、年配の男性が着てもお洒落に見えるでしょう。
これは、バスクシャツを着たフランスのおじいさんが素敵に見えるのとちょっと似た感覚かもしれない。
話は脱線しますが、男性にはイタリア的なギラギラした服装を好む方が多いですよね。あれは男性の方が思うほど女性ウケは良くないんじゃないかと(笑)。
かといって英国のカチッとクラシックな感じも、こっちが身構えてしまう。
その点フランスのブランドには、ギラつかず堅くなりすぎない、ちょうどいいシックさ加減の服が多い気がしていました。
ピレネックスにもその良さがあらわれている気がします。ウチの旦那さんにも是非着てもらいたいですね。
FASHION EDITOR 磯部安伽さん
大手出版社の雑誌編集部に勤務後、2013年にフリーランスに。
集英社「マリソル」「エクラ」「LEE」などの女性ファッション誌を中心に、誌面の構成からライティングまで携わる。
雑誌で取り上げられる私服スタイルも人気。